新築注文住宅は高すぎる・・・建売や中古住宅ってどうなの?

会津地方で家が欲しいと考えた時、『土地を買って新築の注文住宅の家を建てる』とイメージされる方が大半かなと思います。

好きな場所に土地を選んで、車は来客時のことも考えて3台のスペースは欲しいから、最低60坪位、間取りは将来的に足腰が弱って2階を使わなくなることもあるだろうから、1階に和室1つ欲しいし、玄関脇にはシューズクローク、洗面所は脱衣室と分けてファミリークローゼットも設置したいから37、8坪で断熱性能の高い家がいいかな・・

と自由に作れる注文住宅は想像するだけでわくわくしますよね。

せっかくの住宅購入ですから、出来る限り要望は叶えて欲しいと心から思いますが、ハウスメーカーや建築屋さんに要望を伝えて、見積金額を出してもらうも、要望を金額にすると想定よりも高くてびっくり!ということになる方が多くおられます。

ここでこのまま“欲しい!”という気持ちが勝って進んでしまうと、自分たちに合っていない住宅ローンの額になってしまう可能性が大いにあります。

せっかくの大きな買い物をするのだから、要望を最大限に叶えたいという気持ちはもちろん大切だと思いますが、自分たちの予算をしっかり計算し、その範囲内で住宅を検討することは「大前提」です。

そう考えた時に、必ずしも新築だけではなく、例えば、建売住宅を買う、中古住宅を買って修繕して住む、などの他の選択肢の可能性もあってもいいのかなと思いますし、実際にそうしている方も多くおられます。

新築注文住宅一択でお考えの方も、一度それぞれのメリットデメリットを確認してから決めても遅くはないはずです。他の選択肢でどのくらい金額に違いがあるのか、実際に中古住宅を買った人は満足しているのか等はとても気になるのではないでしょうか。

そこで、会津で住宅ローンの仕事に10年、住宅の仕事は15年以上関わり、ファイナンシャルプランナーだけではなく、宅地建物取引士と施工管理技士の資格を持ち、日々会津で住まいを持つ方のサポートをしている私から、今回は新築・建売・中古住宅の情報をお伝えしていきます。

会津の不動産の傾向

まずはじめに、会津の住宅事情を見ていきましょう。

会津若松市の売り出し中の不動産情報を見ると、土地が一番多く200件ほどあり、中古住宅はその半分の100件ほどです。

建売住宅は1区画の同じ建売を、同じ価格で、郡山の不動産会社さんたちで複数社が掲載しているので数が多いように感じますが、実数は中古住宅よりも少ないはずです。

他県の地域では圧倒的に建売住宅が多く、土地の販売がとても少ないところもありますが、会津は土地の数が一番多く、次いで中古住宅、建売という構成で、中古住宅や建売を買う方も会津では一定数いらっしゃいます。

それでは、今から注文住宅・建売・中古住宅のメリットとデメリットを見ていきましょう。

新築注文住宅のメリット

間取りや最新機器の設置が自由。

基本的に間取りは自由で、広いLDKが欲しい、書斎を作りたい、動きやすく無駄の無い家事導線を作りたい、タンクレストイレを付けたいなどの要望を基本的に叶えられます。(建築上や予算上の制限はあります。)家族で間取りを考えたり、ショールームにキッチンやシステムバスを見に行ったりする時間はとても楽しく、家族皆で作り上げる実感があります。

土地の選定や建築屋さん・工法を自由に選べるので、耐震や断熱への備えが出来る。

新たに造成された土地で何区画か売りに出されているところから選びたい、地元の人に長年愛されている建築屋さんと巡り合って建ててもらいたい、長期優良住宅や低炭素住宅にしたい、等々が自由に選択することが出来ます。

買う時や入居後の税金が割安。

建物完成時の保存登記の登録免許税の軽減や、固定資産税が3年間建物は1/2になる軽減(認定長期優良住宅は5年)があります。

注文住宅のデメリット

打合せから完成まで工事期間が掛かる。

土地を決めて申込をしつつ、建築屋さんと配置や間取りの打合せを進めますが、打合せ~図面作成~契約~建築確認申請~着工までは最低でも2~3ヶ月掛かります。そして着工から完成まで4~6ヶ月と、土地探しから含めると1年掛かり、土地がなかなか無かったりすると1年超えになることも多々あります。

要望が膨らむと予算オーバーになる可能性がある。

せっかくの注文住宅だから、親御さんからの贈与が見込めるから、と要望を詰め込み過ぎてしまうと、価格の面で良心的な地元の建築屋さんにお願いしたとしても結構な金額になってしまうこともあります。

建った時の想像が難しく、完成のイメージが持ちにくい。

立体的な図面はあっても、実際の大きさのイメージが持てなかったり、壁紙などの色や柄も小さいサンプルから全体の想像をすることが難しいということがあります。お願いした建築屋さんが今までに建てた家を何軒か見せてもらうなどして、イメージをつかんでいくことが必要です。

価格が高い、建築屋さんの選定の基準がわからない、等。

ハウスメーカーは良さそうだけど土地建物で4,000万円は手が出ない、でも地元建築屋さんはどこがいいのか接点がないからどう選んでいいのか、よくわからないとはよく聞きます。完成見学会に行っても、ここに決めようという基準がわからなくて、宣伝が上手な建築屋さんを選んで後悔してしまうという方も中にはいます。

中古住宅のメリット

価格が安い、自分の目で確かめて購入が出来る。

築年数が経過しているので、経年劣化は当然ありますが、その分価格は下がっています。基本的に売主さんは修繕せずにそのままで買ってねという「現況売り」が多いものですが、実際に何度も見ることは出来ますから、修繕分も考えた上で買うかどうか判断が出来ます。

ご近所さんがすでに生活をされているので、どんな町なのか確認が出来る。

すでに出来上がっている街の一角を買うことになるので、購入を決める前に昼間と夜に周囲をぐるっと歩いてみると、ご近所に同年代のお子さんは住んでいそうか、車通りは多いのか、街灯はあるのか等の確認ができます。

冬の時期であれば、道路や通学路の除雪状況や、近所の方がどこを雪捨て場としているのかも確認しておいた方がいいでしょう。

中古住宅のデメリット

築年数が経っているので、建物や設備の劣化や旧耐震基準になっている。

40年程前の住宅は和室が多く、廊下がどーんとスペースを取っていて、時代を感じる間取りであったり、水回りの設備やデザインも築年数分の古さがあります。

昭和56年5月31日までの建築確認において適用されていた基準で建てられた住宅は旧耐震基準になるので、耐震補強が必要になることも考えられ、いつ建てられただけでなく、建築確認を受けた時期も確認が必要です。

20年以上経過していて、水回りの入替えや屋根塗装をする場合は、その分の費用を加味して住宅ローンの審査を受けたり、天井にシミがある場合は雨漏りなのか結露なのか、建築屋さんに見てもらっておく等が必要になります。

建売住宅のメリット

完成した実物を見て判断が出来る。

建築中に売れてしまうこともまれにありますが、一般的には完成した物件を見学して、間取り、設備、窓からの景色、傷などがないかを確認して、直してもらった上で購入が出来ます。値段が下がったタイミングなどは“早い者勝ち”になることもあるので、気に入った場所は建築中からローンの審査を通しておくなどの準備をしておくとスムーズです。

場所にもよるが、新築なのにお値段控えめ。

年間でかなりの棟数を建てている業者さんですと、土地建物で2,300万円前後で駐車スペース等の外構まで終わった状態で購入できます。この価格は注文住宅ではなかなか難しい価格になるので、棟数の多さが成せる価格です。

地震への備えとして、消防署・警察署・学校などと同等の最も高いレベルの耐震等級3を備えた住宅も中にはあり、そういった優良住宅には住宅ローンの種類によっては、金利優遇が受けられるというメリットもあります。

購入して入居が出来る。

完成していれば、住宅ローンを通して、売買契約をして、オプション分のエアコン・アンテナ・網戸などを購入・設置して、修繕箇所やエコキュートの点検をしてもらえれば、すぐにお引渡しで、最短で1か月程度で新居に住むことが出来ます。

建売住宅のデメリット

建売住宅が数件並ぶことが多いので、同じような外観になる。

以前、建売住宅の売主の業者さんに建売住宅のデメリットを伺ったら、お隣の方とデザインが似通ってしまうところ、とのことでした。確かにその通りなので、デザインを重視したい方には選ばれにくそうです。

新築だけど、間取りを選べない。

1階に水回りとLDKと和室、2階に3つの洋室とトイレいうのが一般的な建売の間取りになり、基本的には選べません。収納スペースも各部屋に設置してありますが、自分達の所有している物の量が合わないと、せっかくの新居も収納スペースが足りず、しまいきれないという可能性もあります。

家の中だけでなく、自転車やバイクの収納箇所が無いため、新たに物置や小屋を設置するための費用も必要になります。

申込~お引渡しまでのスピードが早すぎる。

申込の意思表示をしてから、住宅ローン事前審査、建売売買契約、住宅ローン本審査、オプション発注、物件チェック、銀行との契約、決済・お引渡しまでが流れるように、あっと言う間に進んで行きます。一生に一度の大きな買い物なので、一つ一つ購入される方の理解度を確認しながら、丁寧に進んでくれる不動産仲介業者さんとの出会いも重要になります。

建物の価値が低い。

建売住宅の建物部分は1,000万円程の価格です。それでも業者側は儲けられるということなので、建物はかなり安く作られています。もし後から売却したい、となった時にさらに価値は下がる可能性があります。

費用の比較

会津で60坪の土地で1,000万円前後、37,8坪の家は2,000万円は超えてきます。依頼するハウスメーカー、建築屋さんによってはそれぞれ性能も違いますから、3,000万円程度になる建物もあるでしょう。

新築時に土地・建物以外で予算取りしておくべき費用

・地盤改良費 100万円

(地盤調査をしてみないと掛かるかどうかはわからないものなので、掛かる前提で予算取りしておきます。)

・外構工事費(カーポート・コンクリート) 100万円

・諸費用(土地の仲介料・登記費用・銀行保証料・火災保険等々) 200万円

上記を足すと、土地・建物の他に400~500万は掛かります。総額で3,400~4,400万円という感じでしょうか。

建売住宅は、場所(土地の値段)にもよりますが、2,300万円位の物件が多く販売されていて、ハウスメーカーの建売で3,000万円を超えているものも中にはあります。本体価格にプラスして、諸費用とオプション分で合わせて300万円程、見ておく必要があります。

中古住宅は、周辺の相場や売主側の事情にもよりますが、築10年程の物件で2,000万円前後、築20年程の物件で1,500万円前後、築30年超であれば、1,000万円以下の物件もあります。築40年で耐震基準が今の制度ではない、いわゆる旧耐震の建物はもっと値段が下がっていることもあります。

築年数が経過している物件に関しては、その分修繕費用も必要になります。

水回りは年数が経つと古さが目立つので、最低限、水回り(お風呂・キッチン・トイレ)の設備は入替えをしたいという方は多く、300~400万円程度掛かります。その他、雨漏り・壁のカビなど最低限修繕したい箇所と、要望(和室をフローリングにしたい、壁を抜いて広いLDKにしたい等)や予算との兼ね合いでどこまで直すかを調整していくことになります。

空家のリフォームには補助金がある

空家を購入してリフォームをする場合、福島県の空家対策支援事業の補助金が受け取れる可能性があります。

各自治体でそれぞれ空家の補助金が用意されていますが、通常、空家バンクに登録されている中古住宅が要件になることが大半です。ですが、この福島県の補助金は、3ヶ月以上空家であることが所有者にて証明(書類に空家期間と署名・捺印)してもらえれば、対象になるので、補助金が受け取れる可能性が上がります。

まずはホームページにある、専用の相談シートにお名前、購入予定物件の概要等を記入したものを持って、会津若松建設事務所に電話連絡の上、相談してみてください。

1週間ほどで空家が補助金の該当になるかの返答が来ます。

その相談を経てから、見積もりやリフォーム箇所の画像、図面、家族の住民票などを揃えて、申請手続きをして、リフォーム工事完了後、一旦工事代金は立て替えて支払った後に、入金、という流れになります。

会津若松建設事務所 0242-29-5461

「住んでふくしま」空家対策支援事業

フルリノベーションの例

中古住宅をフルリノベーション前提で購入するケースもあります。リノベーションは建物の大きさは変えず、基礎や柱はそのままで窓、壁、間取り、水回りの設備を入れ替えるので、中も外も新築のようになり、中古住宅のイメージはほとんど残りません。

費用は建物の大きさにもよりますが、1,500万円前後です。元の住宅が1,000万円とすると、諸費用と合わせてトータル2,700万円程で新築同様になります。無理して新築注文住宅にするよりも、選択してよかったと喜んでいる方もいます。

フルリノベーションをするには、どんな中古住宅でも出来るということではありません。

つまり元の建物の状態が大事になり、基礎の状態を確認してもらうなど、中古住宅を見学する段階で建築屋さんに同行してもらう方がスムーズな購入判断にも繋がります。

一度だけでは判断がつけられない場合は、再度見学することも可能です。建築屋さんとの同行が難しい時は、場所を伝えて外観からでも確認してもらう、など購入を決める前に動いてもらうよう依頼をしてください。

視野を広げて選択肢を増やす

これまでそれぞれのメリットとデメリットと費用の違いを見てきましたが、いかがでしょうか?

住宅に掛けられる予算を決めた上で、予算の範囲内で最大限努力してくれる建築屋さんで、新築注文住宅を建てることはとても素晴らしいことです。

しかし、新築注文住宅だけが選択肢ではありません。建売や中古住宅を視野に入れることで、より安価に理想に近い家を手に入れることができるかもしれません。

また、中古住宅や建売住宅を視野に入れることで選択肢が増えれば、住みたい町やお子さんの学区内の範囲でも早く見つけられる可能性も上がります。

その結果、予算内に収まり、住宅ローンに圧迫されることなく、老後まで安心して生活を楽しめるのであれば、選択肢として十分に有り得ることなのではないでしょうか?

ぜひ一度検討してみることをお勧めいたします。